2018年3月23日
プレミアムな生産者は『ファーストワイン』と『セカンドワイン』というものを造っていますが、それらの意味をご存知ですか?
それは19世紀のボルドーで始まった慣習ですが、有名な生産者らは彼らのブランドイメージを保つため、常に良いワインを造りたいという気持ちがあります。しかし、その年の自社畑のブドウ全てのできが良いわけではありません。よくできたブドウもあれば、それほどではないものももちろんあります。そういった理由から、あまりできが良くないブドウや若木のブドウを使用して、割と早飲みで低価格帯のキュヴェを造ることがあります。『セカンド』の意味そのまま、"2番目(に良い)"二番手ワインというわけです。そうすることですぐに市場に出せるワインができるので、早々に収益を得ることができ生産者は助かります。その後、生産者はより品質の高いブドウを選別し、高品質の『ファーストワイン』を造るのです。
一言で『セカンド』といっても、品質や値段に大きな違いがあります。例えば、シャトー・マルゴーの「パヴィヨン・デュ・シャトー・マルゴー」、「ル・クラレンス・ド・オー・ブリオン」、シャトー・パルメの「アルテ・レゴ・ド・パルメ」のように数万円もするセカンドワインもありますので、セカンドといっても一概に品質はあなどれません。ボルドーだけでなくイタリア(特にスーパータスカン)・スペイン・カリフォルニアなどのプレミアムな生産者もセカンドと呼べるワインを造っています。
技術の高いワイナリーが造っているものであれば、ファーストワインほどの長期熟成ワインではなくとも、セカンドワインを試しただけでその素晴らしさや個性を感じることができるかと思います。セカンドワイン、ぜひ一度試してみてはいかがでしょうか?
著者紹介
Ettore Donadeo(エットレ・ドナデオ)
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WSET認定 Level4 Diploma
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Wine Scholar Guild Bourgogne Master-Level
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DWG認定ドイツワイン上級ケナー
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JSA認定 ワインエキスパート
アンコナ、マルケ州、イタリア生まれイタリア育ち。使用言語はイタリア語・英語・フランス語・関西弁。イタリアの大学で日本語学科を専攻。大学時代に1年間日本に交換留学した際に日本文化に魅せられ、卒業後2008年に再来日。日本とイタリアをつなぐ仕事がしたいと思い、ワイン業界へ転身。WSET Level2からワインの勉強を始め2017年にDiplomaを取得。2017年までワイン専門の酒屋で経験を積み、その後キャプランワインアカデミーに入社。