2018年12月21日
イタリアワインのラベルでよく見かける「Classico(クラシコ)」はイタリア独特の用言で、法律で定められている意味があります。
「クラシコ」という言葉はイタリア語では色々な意味がありますが、この場合は「代表的」「典型的」というふうに訳せます。皆さまはご存知かもしれませんが、ヨーロッパには「原産地統制呼称」という制度があり、そのワインを名乗るための条件がいくつかあります。
例えば自分のワインを「Valpolicella」と名乗りたければ、法律で限定された地域で造らないといけません。原産地統制呼称の名前(= Valpolicella)に「クラシコ」が付いたら、そのワインはValpolicellaの産地だけではなく、その産地の中でさらに小さい、一番古くからワインを造っているエリアからきているという意味です。つまり、「典型的なValpolicella」として認められています。クラシコの場合、収穫量などの栽培・醸造条件も普通のバージョンより少し厳しくなりますので、基本的に品質がより高いです。
普段日本で見かけられる種類はそれほどないですが、「○○ + Classico」というワインはたくさんあります。Soave Classico DOC、Orvieto Classico DOC、Verdicchio dei Castelli di Jesi Classico DOC、Bardolino Classico DOC、Cerasuolo di Vittoria Classico DOCG、Cirò Classico DOC、Cannonau di Sardegna Classico DOC などなど。
しかし、Barolo、Taurasi、Barbaresco、Brunello di Montalcinoなどのように、クラシコが付かないワインもあります。クラシコを付けて良いかどうか、どのエリアがクラシコになるのか、どの条件に従わないといけないのか、などすべて法律で決められているのです。
最後に注意していただきたいのは、ClassicoはMetodo Classico(メートド・クラシコ)とは関係ないということです。Metodo Classicoはスパークリングワインを造るために使う伝統方式を示していますので、まったく別のものです。
著者紹介
Ettore Donadeo(エットレ・ドナデオ)
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WSET認定 Level4 Diploma
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Wine Scholar Guild Bourgogne Master-Level
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DWG認定ドイツワイン上級ケナー
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JSA認定 ワインエキスパート
アンコナ、マルケ州、イタリア生まれイタリア育ち。使用言語はイタリア語・英語・フランス語・関西弁。イタリアの大学で日本語学科を専攻。大学時代に1年間日本に交換留学した際に日本文化に魅せられ、卒業後2008年に再来日。日本とイタリアをつなぐ仕事がしたいと思い、ワイン業界へ転身。WSET Level2からワインの勉強を始め2017年にDiplomaを取得。2017年までワイン専門の酒屋で経験を積み、その後キャプランワインアカデミーに入社。