2019年3月27日
ネッビオーロ、サンジョヴェーゼ、ネロ・ダーヴォラ、バルベラなどのブドウ品種からよくワインを作りますが、それらはほとんどイタリアのものです。例えば、ネッビオーロ → バローロ、バルバレスコ;サンジョヴェーゼ → キャンティやブルネッロ;ネロ・ダーヴォラ → チェラスオーロ・ディ・ヴィットリア;バルベラ → バルベラ・ダルバもしくはバルベラ・ダスティなどなど。
フランスのブドウ品種は世界中に広がっていますが、イタリアのブドウ品種はイタリア以外にはほとんどないようです。原因はいろいろありますが、20~30年前まではイタリアのブドウ品種はそれほどファッショナブルではなかったことが、その理由の一つだと思います。原産地から離れるとなかなか良いワインを作れないネッビオーロのようなものもあります。イタリアでもこんなに気難しいブドウ品種は少ないのではないでしょうか。
フランスの品種ほどではありませんが、なかにはイタリア以外の国で栽培されているイタリアの土着品種もあります。国際的に一番人気なのは、もちろんユニ・ブランとも呼ばれているトレッビアーノ・トスカーノですね。これはフランスに8万ヘクタール以上広がり、ワインだけでなく、コニャック、アルマニャックを作るためにも使っています。そして、アルゼンチン、ウルグアイ、ポルトガル、スペインでもよく見かけます。
その次にプリミティーヴォもかなり有名ですが、ジンファンデルの名前で知られています。アメリカでは2万ヘクタール弱あり、それからチュニジア、オーストラリア、ニュージーランドでも使います。故郷のクロアチアでは意外と少なく、65ヘクタールしか見つかりません。
3番目はイタリアで一番広く栽培されているサンジョヴェーゼでしょう。フランス(特にコルシカ)に1,500ヘクタールあり、ニエルッチョと呼ばれています。それからアルゼンチン、アメリカ、チュニジア、オーストラリア。ニューワールドのサンジョヴェーゼはそれほど有名ではありませんが、探せば日本でも見つかります。(ワシントンのレオネッティ・セラーズ、オーストラリアのパイクスやピッツィーニなど)
その他のイタリア土着品種は他の国ではかなり珍しく、ヴェルメンティーノは南フランス(プロヴァンスなど)でよく使われていますが、他の国にはほとんどありません。バルベラは南アメリカで少し人気がありますが、国際市場であまり見かけません。オーストリアのグラニット・ベルト地域(クインズランド州)ではイタリアからの移民が多く、フィアーノ、ネロ・ダーヴォラ、サグランティーノ、モンテプルチャーノ、ネッビオーロのような品種を使ってワインを作っている生産者がいます。味はやはりイタリアのものとは違いますが、品質が良いものがあります。
著者紹介
Ettore Donadeo(エットレ・ドナデオ)
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WSET認定 Level4 Diploma
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Wine Scholar Guild Bourgogne Master-Level
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DWG認定ドイツワイン上級ケナー
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JSA認定 ワインエキスパート
アンコナ、マルケ州、イタリア生まれイタリア育ち。使用言語はイタリア語・英語・フランス語・関西弁。イタリアの大学で日本語学科を専攻。大学時代に1年間日本に交換留学した際に日本文化に魅せられ、卒業後2008年に再来日。日本とイタリアをつなぐ仕事がしたいと思い、ワイン業界へ転身。WSET Level2からワインの勉強を始め2017年にDiplomaを取得。2017年までワイン専門の酒屋で経験を積み、その後キャプランワインアカデミーに入社。