2023年8月3日
1976年、世界のワイン界を一変させた『パリスの審判』が行われました。英国のワイン商であるスティーブン・スパリア氏がパリでブラインドテイスティングを企画し、カリフォルニアワインとフランスの有名なワインを対決させました。フランスの名だたる審査員たちは各ワインの産地を知らされることなく、それらをランク付けして評価しました。
誰もが驚く結果となりました。カリフォルニアワインがトップに躍り出たのです。シャトー・モンテレーナの1973年のシャルドネと、スタッグス・リープ・ワイン・セラーズの1973年のカベルネ・ソーヴィニヨンが、それぞれのカテゴリーで勝利を収めたのです。
この審査の結果はワイン界に衝撃を与え、長らく続いていたフランス、ヨーロッパ以外でも素晴らしいワインを造れることを明らかにしました。パリス審査はカリフォルニアワインの評判を大いに向上させ、その地域を世界的なワインの強国へと変貌させました。
カリフォルニアだけでなく、このイベントは他のニューワールドのワイン産地にも国際舞台での躍進を促し、多様で包括的なワイン産業の芽を吹かせました。パリスの審判はワインの知見を永遠に変え、新たなプレーヤーが名誉あるワイン製造の世界に参入する道を切り開いた忘れられない歴史的瞬間でありました。
著者紹介
Ettore Donadeo(エットレ・ドナデオ)
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WSET認定 Level4 Diploma
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Wine Scholar Guild Bourgogne Master-Level
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DWG認定ドイツワイン上級ケナー
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JSA認定 ワインエキスパート
アンコナ、マルケ州、イタリア生まれイタリア育ち。使用言語はイタリア語・英語・フランス語・関西弁。イタリアの大学で日本語学科を専攻。大学時代に1年間日本に交換留学した際に日本文化に魅せられ、卒業後2008年に再来日。日本とイタリアをつなぐ仕事がしたいと思い、ワイン業界へ転身。WSET Level2からワインの勉強を始め2017年にDiplomaを取得。2017年までワイン専門の酒屋で経験を積み、その後キャプランワインアカデミーに入社。