アールエヌティーホテルズ株式会社
国内外No.1に向けておもてなしできる人材を育成

お客さまに満足と感動を感じていただける、21世紀型のホテル創りのための人材育成施策の一環として、インバウンド対応強化に向けた、語学・異文化・接遇の3側面から総合的なスキルを判定しスタッフを育成する「グローバルおもてなしマイスター認定資格制度」を導入。今回のインタビューでは代表取締役の成田様、教育企画課課長の平尾様、認定制度の研修受講者の代表であるリッチモンドホテル浅草の宿泊支配人植田様、リッチモンドホテル成田のフロントチーフ三浦様にお話いただきました。

アールエヌティーホテルズ株式会社について

アールエヌティーホテルズ株式会社

本社所在地

東京都世田谷区桜新町1-34-6

設立

2004年4月1日

代表

代表取締役 成田 鉄政

事業内容

リッチモンドホテル運営

「ひとと自然にやさしい、常にお客さまのために進化するホテル」を創り経営するアールエヌティーホテルズ株式会社は、全国に36ホテルを展開するリッチモンドホテルを経営。リッチモンドホテルはJ.Dパワー ホテル 宿泊客満足度1泊9,000円~15,000円部門 No.1を10回受賞、サービス産業生産性協議会主催JSCI (日本版顧客満足度指数)2016年度 ビジネスホテル部門 2年連続No.1 を受賞している。

アールエヌティーホテルズ株式会社
アールエヌティーホテルズ株式会社
代表取締役 成田様

~国内外No.1を目指して~
おもてなし人材の育成はリッチモンドホテルの使命

今、私たちの大きな目標は顧客満足度“国内外No.1”となることです。現在、リッチモンドホテルは国内のお客さまに顧客満足度No.1ということで高い評価をいただいています。昨今のインバウンド需要の高まりを受け、当社の外国人のお客さま比率も伸びてきていて、場所にもよりますが浅草でいうと半数近くが海外からのお客さまです。国内外関係なく、おもてなしできる人材を育成していくというのは、私たちの会社の使命だと思っています。

海外のお客さまからも満足度No.1を目指していくには、やはり「人」が重要だと思っています。人が接客、お客さまとの接点となり、ここでリッチモンドホテルブランドや満足度を作り上げていくわけですから、そのためにもきちんとした「おもてなし」ができる英会話力や対応力を身につけていきたい。会社として最も力を入れていたのは、やはり教育。むしろ教育以外ありませんでした。どうしても会社というのは目先の利益を考えてしまいがちですが、教育は会社としての先行投資。インバウンド需要はどんどん伸びてきていますから、人に、教育に先行投資することが非常に大切だと考えていました。

インバウンド対応の基準がなく、手探り状態

受け入れ側の現場としては非常に悩んでいました。インバウンドに対応した接客の基準もなく手探り状態の中で現場でマニュアルを作り、海外のお客さまと会話していましたが、語学力への自信のなさからお客さまが来るたびに身を引いてしまうスタッフもいました。

また、日本との文化の違いなのか、禁煙ルームで煙草を平気で吸われたり、お部屋の準備ができていない、チェックイン可能時間より早く到着されてしまったり。律儀で真面目な日本人との違いもあるかもしれませんが、海外のお客さまの考え方の違いに戸惑うこともあるようでした。

「英語力」と「ホスピタリティのある英語力」との違い

TOEIC®800点、900点を取得しているスタッフも採用していますので、このスタッフなら英会話は大丈夫という自信があったのですが、そのスタッフが接客をした海外のお客さまより、非常に冷たい対応を受けたと苦情が入ってしまうことがありました。そこで、単に英語力が高いだけではダメなのだと。海外のお客さまから喜ばれるスタンダードの英会話というのは何なのか、本当にホスピタリティがある言葉づかいは何なのかということを非常に考えさせられました。

個人だけでなく、組織への展開を求めていた

そこで、最初は教育企画課としてスタッフ向けにオンライン英会話の英語研修を企画しました。

教育企画課  課長 平尾様

全国から50名募り、スカイプを通してフィリピンのネイティブの方と英語で会話するトレーニングを1年間実施しました。2年目も続けていたのですが、なかなか効果測定ができないことや、結果として個人のスキルアップだけに留まってしまうことが反省点でした。教育企画課としてはホテルの代表として研修を受け、そのスキルが組織全体として波及していけるような仕組みを求めていました。

アールエヌティーホテルズ株式会社 導入事例 概要

グローバルおもてなしマイスター認定資格制度:ベーシックマイスター(基礎レベル)

目的
1

訪日客急増に伴い、語学に加えて異文化理解の促進

2

従業員の中長期的なキャリア開発、モチベーションの向上

対象

10名
(首都圏ホテルのフロント業務を行うリーダークラス希望者)

期間

3ヶ月間
(研修4日間+認定試験1日間)

3つの認定レベル

<認定資格取得までの流れ>

認定資格取得までの流れ

語学・異文化・接遇スキルを総合的に学ぶ

「グローバルおもてなしマイスター認定資格制度は語学・異文化・接遇の3側面の研修を2ヶ月の中で4日間実施し、最後に認定試験をするという内容でした。対象者は、首都圏のホテルのフロント業務を行うリーダークラスから手を挙げた10名。単に会社がこういう教育をやります、というだけではやはりダメで、現場自らが向上していきたい、お客さまにもっと良いサービスをしたい、そんな風土を大切にするためにも、受講者は各ホテルから立候補制で募りました。

同じゴールを目指し、好循環が生まれる

各ホテルからの代表者が集まったので、他のホテルとのノウハウの共有というか、良い意味での競争、あるいは刺激し合える相乗効果が生まれました。これまでリッチモンドホテル内で認定制度なるものはありませんでしたが、認定するという部分でもひとつのゴールが見えたと思います。各ホテルの代表者10名が集まって研修を受講し最後の認定試験合格に向けて、同じ方向に向かっていく姿は初めて見たように思います。最終的には本人たちの成長はもちろん、お客さまにも喜んでいただき、結果それが会社に戻ってくるという、この認定制度により良い循環が生まれたと感じました。

集合研修の様子

現場ですぐに活かせる内容

語学研修や接遇研修では、実際にスタッフへのOJTにも使っており、現場での業務に早速役立てているようです。異文化理解研修を受けてからは、海外のお客さまからの難しいオーダーも「日本ではありえない」とただ思うのではなく、捉え方の違いであると認識できるようになり、より深いレベルで海外のお客さまを理解できるようになったと聞いています。

接客場面にふさわしい英会話のニュアンスの違いを学習

語学研修では、今まで使っていた英語表現ではお客さまにとってはストレートすぎて一方的に聞こえてしまい、場面によって表現を変えることで丁寧で柔らかい表現にすることができることを、講師から細かなニュアンスの違いを具体的に指導してもらえたことも良かったようです。

全国展開による共通言語化

今回は首都圏メンバーが対象でしたが、CSの全国会議でこの認定制度の研修やテキストが現場に活かせることを発表しましたら、地方ホテルの方から「私たちも受講したい」と早速、手が挙がりました。インバウンドの需要は地方でも伸びてきていますので、今後はもっと受講するスタッフを増やしていき、全国展開による共通言語化を是非していきたいなと考えています。

グローバルおもてなしマイスター認定資格制度導入のポイント

研修参加への現場の協力

研修中、ホテルの他のメンバーが業務をカバーするわけですから、やはり周りの支援はすごく重要だと感じています。メンバーが応援して研修に送り出す、研修受講者は代表としての意識を持って研修に真剣に取り組む、そして学びをホテルに還元するという成功例が今回できたのではないでしょうか。

認定制度の取組みの存在感を高める演出

認定試験に合格したスタッフにベーシックマイスターの認定証を郵送で送らず、あえて教育企画課の私がホテルへ訪問して、バックオフィスで皆がいる前で認定をしました。周りのスタッフが「いいな」と思う意識づけのために皆の前であえて表彰し、支配人と一緒に写真を撮るというパフォーマンスを入れました。(取材当日は成田社長直々に受講者の植田様に認定証を授与し表彰されていました。)

成田社長より植田様へ認定証の授与

キャプランを選んだ理由

さまざまな業界での研修実績と第三者からの評価

社内でリッチモンドアカデミーという接遇トレーニングを行う部署がありますが、今回の認定制度では、ホテル以外のさまざまな業界・業種での研修実績があるキャプランに、客観的な評価・認定いただけるという点で、社内とは異なる指導を受けられことが非常に大きかったと思います。

ロールプレイングを講師が指導

講師の指導力

講師はズバッと言うことは言うのですが、その前に必ずできているところを褒めてから「もう少しこうするともっと良くなるよ」と相手を気持ち良く成長させる、そんな指導をされていました。そうすれば、受講者のスタッフも誰も傷つかない、その講師の表現力は受講者が指摘を吸収できるかどうかにかかっていると思いました。キャプランの講師の方々は、接客業のプロとして国際線の乗務員として勤務されていた方、その時からのスキルが脈々と伝わってきました。

接客英会話が現場ごとにカスタマイズできる魅力

今回の認定制度を導入する前に、キャプランの「おもてなしランゲージ®英語研修」を全国5都市で実施していました。業界・業種ごとに研修をカスタマイズできる強みがあるという事で、個々のホテルの実情に合わせた形でさまざまな現場マニュアルを作っていただきました。「ここまでやってくれるのか」と強く感じる程、現場で即実践できる内容のものにしていただきました。過去をたどればJALアカデミー時代からの信頼関係がありましたし、現場でインバウンド対応に困り、手探りの状態の時期に光が見えたような感じで出会い、今回の認定制度でもまたお願いしたいという思いにつながりました。

受講者の声

リッチモンドホテル浅草 宿泊支配人 植田様

具体的な接客シーンが想定され即実践できる

私自身、海外経験がなく全く英会話ができない状態でしたので、語学という部分ではとても苦労しました。会社の研修でオンライン英会話からスタートし、英語で話すことには少し慣れたものの、やはり日常会話と接客で使う英会話がどのように違うのか、全くピンと来ていませんでした。

しかし、今回の認定制度では、まず語学のテキストを見て衝撃を受けました。テキストもホテルの接客に合った英会話でしたので、道案内や館内の案内などを学び、このままホテルに帰ったら即実践できる、というレベルで教えて頂きました。

異文化理解についても、改めてお客さまは多種多様の人種がいらっしゃることに立ち返り、相手が思っていることをどう理解するのか、心と心をうまく通わせていくことが会話というものだと学ばせていただく良い機会になりました。

これまでの定型フレーズではなく、丁寧な英語表現とその意味をきちんと理解できたことで、お客さまのうなずいているしぐさなど反応を見ながら、会話のキャッチボールができるようになってきたと思います。

研修の学びの活用により、職場がさらに明るい雰囲気に

接遇研修での気づき・学びを活用して、フロントでは毎月のテーマを決めて皆で改善に取り組んでいます。先月は「お客さまに自分から積極的に英語で挨拶する」今月は「フェイスアップ」。フェイスアップは、接客対応中、ずっとキーボードを叩きながら対応するのではなく、お客さまの目を見て、まずフェイスアップしようというような取り組みをしています。テーマを掲げてスタッフ同士が注意をし合えるようになると、少しずつできるようになってきて、フロントがさらに明るくなってきたように思います。

 

リッチモンドホテル成田 フロントチーフ 三浦様

異文化への対応は相手を理解し、共感することで歩み寄る

元々留学経験がありましたので、通常の英会話であればある程度こなしているつもりでいました。しかし、接客英語としてはお客さまにより丁寧な表現でお伝えするにはどうすれば良いか課題を感じていました。お客さまのご要望に対してお応えできない場合、ただ一方的に断るのではなく、一言、共感の言葉を添えることでお客さまの反応が変わってきました。例えば、お客さまが禁煙ルームを希望されてもその空きがない場合、「あいにく禁煙ルームは空きがありません」と定型フレーズのみを言うのではなく、一言「そうですね、禁煙がよかったですよね。」と共感をしてさしあげると、同じ禁煙ルームに空きがないとしても、お客さまの気持ちも少し和らぐのかなと感じました。

学んだことが試験で合格認定、自信に繋がる

これまで受けてきた研修では、終了した後に学んだことを実務の中でどれだけ活かせているのか自分に自信が持てませんでした。今回は、最後に認定試験があり自分の接客を客観的に評価していただけるということで大変興味がありました。日々業務の中ではお客さまに対して評価は聞けませんので、認定試験としてプロの講師の方に見ていただき、そして合格認定していただけることはすごく自信に繋がりますね。

今回はベーシックレベルの認定をもらいましたが、次のステップにもチャレンジしていきたいです。認定バッジももっとグレードアップされたものをつけたいですし!つけているバッジは富士山や桜の絵が描かれていますので海外のお客さまとの会話のきっかけになりそうですね。

認定バッジ

キャプラン取材後記

受講者の皆さまが積極的に研修を受け、そして学んだことを現場で即活用し展開してくださいました。認定制度の研修が現場で困っていることの解決につながり、私どもとしても「研修冥利につきる」の一言でした。今回の取り組みを通して、成田社長の社員を大切にする姿勢、教育投資への熱い思いを改めて実感することができました。「人を大切にする」という経営姿勢が社員に伝わることで、ESおよび定着率の高さがCSへ反映され、それがお客さまからの高い評価へ繋がっているのではないでしょうか。キャプランは、今後も認定制度をはじめとする教育研修を通じて、国内外No.1ホテルを目指されるアールエヌティーホテルズのおもてなし人材育成を最大限支援してまいりたいと思います。

<インタビュー:2016年8月/編集:2016年10月>

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