「働き方改革、待ったなし!」の状態で、働き方改革に関するニュースを見ない日は、もはやなくなってきました。「働き方を変えよう」「残業を削減しよう」といったスローガンを掲げているものの、「何から手をつけていいか模索中」「意識はあるものの行動改革はこれから」という企業に向けて、企画側と実行側のそれぞれの推進におけるポイントと研修の一部をご体験いただけるセミナーをシリーズで開催しました。
働き方改革×長時間労働の是正について、第1回目は「全社」視点で改革を推進するポイントをテーマにセミナーレポートをお届けします。

働き方改革のボトルネックをつかむ

働き方改革に向けた全社的な活動を実際に取り組んでいると、
「社員が自発的に活動に取り組んでくれない、経営層が我が事として取り組んでくれない」など、何かしらのボトルネックを抱えることになるかもしれません。
全社的な活動のボトルネックとなる理由は下記の4つに大別されます。

働き方改革 推進セミナー
1

社員が早く帰れるサポートをしていない

2

経営層が本気ではない

3

社員が全社的な活動にやる気を出すコミュニケーションをとれていない

4

早く帰ったり残業を減らしたりすることがそのまま給与ダウンにつながる

多くの企業が上記のような理由で全社的な活動をスムーズに進められずにいるようです。それぞれの理由に対する解消法を順番にご紹介していきます。

1.タイムマネジメントスキルという現場への武器提供

「働き方改革を始めます、限られた時間内に仕事しましょう、残業を抑制しましょう」と推進していながら、実際に社員が早く帰れるサポートをできていますか?
残業時間を削減するために仕事を減らしたり、業務を効率化するためのシステムを導入したり、何かしらのサポート施策を展開している企業がどのくらいあるでしょうか。実態としてタイムマネジメントは社員一人一人のスキル頼みで個人任せになっていませんか?

昨今、働き方改革に関する研修を実施していると「働き方/生産性向上をテーマにした研修を初めて受けました」という声を多く聞きます。改めて働き方を変えていく、生産性を高めていくための教育研修の機会が不足していると痛感しています。
管理職および社員一人一人が今より楽に、仕事を進められる教育研修を行い、そして習慣化させ行動改革を起こすことが重要です。どれだけ研修の内容がよくても、職場で実際に使わなければすぐに忘れ去られてしまいます。

一方で、働き方を変えていく鍵を握っているのは管理職であるにもかかわらず、管理職自身のタイムマネジメントのスキルは十分でしょうか?

働き方改革 推進セミナー

会議運営、指示の出し方など、まずは管理職の意識改革とマネジメント改革が必要です。たとえ社員一人一人のタイムマネジメント力が向上し、業務効率がアップしても、組織を預かる管理職のリソースマネジメント次第で、その成果は大きく変わります。タイムマネジメント力向上のための教育機会は、結果的に現場への武器提供となります。


2.働き方改革と業績向上の両立 
社内の成功事例が経営者を本気にさせる

経営層の取り組み意識が薄く、全社的な活動に拍車がかからずに困っているという人事部門の方とお会いすることがあります。
経営層にとっても最も効果的なのが、他社ではなく「我が社」の成功事例です。働き方改革が我が社において売上・利益が下がらないことを証明し、社長を始め経営層に本気になってもらえれば、これ以上ない強い味方になるでしょう。
また、社内的に影響力のある部署で成功事例を創り出せば、他部署の社員も「あの部署でうまくいったのなら、うちの部署もうまくいくかも」という再現性が期待でき、おのずと組織全体に波及していきます。

3.大義名分のある経営メッセージを打ち出す

働き方改革は一体、何のため、誰のためのものでしょうか?働き方改革を推進して誰が得をするのでしょうか?

もし社員の残業代が減り給与がダウンして、経営者や会社だけが得をするのであれば、社員は非協力的になり活動にブレーキをかけてしまいます。そうしたことにより、社員一人ひとりに活動の意義を伝えられるスローガン、経営メッセージになっているかが重要です。「働き方改革を行い、〇〇を目指そう、社員一人一人が〇〇な状態になろう。」と意味合いを説いて落とし込みがされていることが全社活動推進の原動力になります。

 

4.残業代削減分をキックバックできる人事制度へ

社員が早く帰ると給与ダウンにつながるようであれば、総論賛成・各論反対と水面下でブレーキがかかり、大きな抵抗勢力になってしまいます。早く帰ることが社員のデメリットにならないよう、残業代削減分を賞与で還元するなどの人事制度に変えれば、大きな推進力に変わるでしょう。

キャプランJプレゼンスアカデミーセミナー事務局より

意識改革ではなく行動改革につながる研修を

プレミアムフライデーの導入や残業時間の上限設定をしても、会社のサポートや社員のスキルアップなしでは現場にしわ寄せがいくばかりです。若林講師は創業当初から、多くの企業のワークライフバランス活動が「時間制限」に終始していることを懸念し、現場への武器提供としてタイムマネジメント研修の必要性を強く訴えてこられました。これからは会社のサポート施策として、習慣化による行動改革を伴うタイムマネジメント研修が求められます。
全社で取り組んでいる働き方改革も、以上の4つの観点から見直すことでさらなる活動の成果を期待できるかもしれません。

<セミナー開催:2017年1月18日(水)>

講師 若林 雅樹氏

講師 株式会社プロスタンダード 代表取締役社長

若林 雅樹氏

株式会社インテリジェンスに入社し、一貫して人事を経験。全社5,000人の働き方改革プロジェクトを任され、残業時間は半分近くまで削減。
会社設立後は、全社的な働き方改革を人事として推進してきた経験を活かし、全社単位での残業削減、生産性向上を支援している。具体的には、総合商社の全管理職向けに効率的な組織運営のためのワークショップを企画・実施、大手鉄道会社の全社向け生産性向上施策の提供など。
著書は「メールはすぐに返信するな。」(KADOKAWA)。また、月刊人事マネジメントにて「全社的な生産性・ワークライフバランス向上活動を“泥臭く”継続・徹底して、大きな成果をあげる方策」を連載。

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